Column Vol.12
Akifumi Kijima |
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前回に引き続き「フラッグフットボール」を大学の授業に導入する過程を紹介していただき、マイナースポーツの普及に関するヒントを得たいと思います。
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| マイナー競技の定着に関する考え(その2:必要条件の整備) |
○木島章文 某国立大学非常勤講師
前稿のとおり,波瀾万丈の船出が始まりました. さしあたっての問題は授業運営の必要条件,自主的なゲーム運営をしてもらうためのお膳 立てです.タッチフットボールはアメフ トの簡易ゲームです.シュートもドリブルもないので,基礎練習が程々でもすんなりゲー ムに入ることができます.これは仕事上,大きなポジティブファクターです.反対にネガ ティブファクターとなる必要条件は2点あります.最初に複雑なルールを理解してもらわ ねばなりません.次にあの梅干しの種みたいな球を弾丸のように回転させて投げなければ なりません. この2点に焦点を絞って1回目と2回目の授業をはじめました.
まず1回目は,他の先生に習って教室でオリエンテーションを始めました.当然,授業内容はルールの説明です.
何はともあれ現物を見せようと思い,事前に協会から調達してきた普及用ビデオを見せま
した.そしていきなり,私が黒板に書いたディフェンス布陣をどうやったら攻めることができるか,紙に書かせました.
ここで発見したことがありました.ビデオを見た後でも,1発のプレーでタッチダウンを
狙いに行く人がいました.しかも何回も複雑なパス回しをしながら.その内容はサッカー,バスケさながらです.私がここで立てたマイルストーンは,他のメジャー競技と関連を
持たせながら説明しようということです.守ったり,相手を交わしたり,基本的な技能は
バスケに近いものがあるので,まずはバスケの変形といった側面から動きを説明して行こうと思いました.次に発見したことは,皆さん,どこが穴になるのかきちんと見抜けるこ
とです.運動経験によって差はあるものの,これは「戦術」ってやつを植え付けるのに有
利な条件です.
2回目の授業はグラウンドにでて,前半は公約どおりの鬼ごっこに費やしました.皆さん
ジャージの上を下のゴムの下にしまい込み,上に出た下ジャージの縁からゼッケン(フラ
ッグ)を垂らしています.10人位を10 x 10mの四角内にいれ,よーいどんでフラッグの奪
い合いです.ここでまた発見しました.女の子はキャーキャーいいながらやる一方,
男の方は女の子に対しておっかなびっくりです.嬉しいような恥ずかしいような,私にも甘酸っぱい気持ちは判ります.そんなこんなで,もりあがりは結局尻すぼみになりました.次
に1対1でやらせました.ただし攻め手はボールを抱えて前方ゴールに走り込ませ,守り
手はフラッグを取ってこれを阻止します.これは男女入り乱れて盛り上がりました.ここで得た教訓は受講生の皆さんに動いてもらうためには,何か明確かつ達成可能な目的が必要ということです.
後半はいよいよボール投げです.取っ掛かりとして,ボールが一番膨らんでいる部分(=真ん中)をわしづかみにして,相手に対してボールの長軸が垂直になるように投げさせました.受け手の目には横になった梅干しの種が長軸廻りに回転して飛んできます.次にボールの端1
/3の部分をつかんで投げてもらいました.つかみやすい反面,長軸廻りに回転をかけるのが難しくなります.それでも「回転をかけてなげよう!」と無責任にがんばらせます.
するとあれあれ,長軸が相手の方向に向き出すではありませんか!なんでこうなるのかはわかりませんが,うまくいきました.あとは遠くにとばすために一歩前に踏み出して投げること,テイクバックは少なくていいといったことを教えました.この時点でQB候補が数名でました.さっそく家で15回を通したチームづくりです.時間をかけて独断と偏見を練り,一切受講生に相談することなく,QB候補数名を中心にバランスの取れたチームが4チ
ームできました(/1コマ).
ここまでで,ゲームを始めるための最低条件が揃いました.2回の授業を通して考えることは,他の競技に対して,フラッグフットボールが持つ独自性って何だ?という疑問です
.他のボールゲームとの共通性はわかります.攻守が入り乱れ,多少の接触がある点はバスケやサッカーと共通です.しかし1st
down, 2nd downといったブツギレ形式は野球と共通,攻撃の陣地と守備の陣地がくっきり分けられている(プレーのはじめだけ)点はバレーボールに似ています.
実は全くの偶然なのですが,鬼ごっこからはじめてフラッグフットに至った過程は,アメ
フト発生の歴史に酷似しています.簡単にいえば鬼ごっこなのですが,それではやはり物足りない.甘ったるさも甘酸っぱさもひっくるめて仲良くキャーキャーの場に,ゴールに象徴される志向性が備わってはじめてゲームになりうるのでしょう.フラッグフットの独自性はこの過程に至るダイナミクスの中に位置づくのだと思います.今後,受講生の「戦術」に対する考え方が変化して行くことで,授業にダイナミクスが生まれます.私はこのダイナミクスの中にこそ種目普及の足がかりがあるのではと思いをはせるのでありました.
続く
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