Column Vol.28
Yasuhisa Shimono |
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下農 裕久
筑波大学大学院 体育研究科 体育心理学研究室
筑波大学ラグビー部トレーナー
ラグビーU-19日本代表フィットネス&コンディショニングコーチ
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前回はフィットネス・コンディショニング(以下F&C)コーチの「勘」に関して述べました。今回は、U19世界選手権大会2006において、U19日本代表チームが実施したフィットネス・コンディショニングストラテジー(戦略)の一部である「疲労回復」にフォーカスして具体的なお話をしてみたいと思います。
前回も述べましたが、「全ての試合にベストコンディションで臨むこと」をフィットネス&コンディショニング領域の使命として挙げました。全ての対戦相手が格上であるこの大会では、楽な試合は1試合もありません。悪いコンディションで試合に臨んでも勝てるような試合は1試合もないのです。また、そのようなゲームでは選手の疲労も想像以上になることが予想されます。「練習・試合の疲労をいかに回復させるか?」という課題にいかに取り組んでいくかということは非常に重要になり
ます。以下は、大会期間中の主なスケジュールであり、試合は中3日で行われました。
| A.M. |
P.M. |
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Gamem→Recovery(Pool) |
| Recovery/Fitness Training |
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| Team Practice |
Team Practice |
| Conditioning Menu |
Team Practice(Captain's Run) |
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Game→Recovery(Pool) |
上図のような日程をこなしていくために、「疲労回復」という目的のための戦略で重要になっていたのは、試合後のプールリカバリーセッションと試合翌日のリカバリートレーニングになります。試合会場にプールが設置されてあり、試合後、グラウンドでのストレッチングが終わると試合に出たメンバーも出なかったメンバーもプールリカバリーセッションを行います。日本代表チームのみならず、他のチームも同様に積極的にプールを利用し、リカバリーを図っていました。プールリカバリーセッションを行うことで、@試合で熱くなった筋肉を冷やす A水圧により血流を増加させ、循環を促進し疲労物質の除去 B心理的なリラックス などの効果を期待しました。プール内で、チーム全体でストレッチングやウォーキングなどを行った後にフリーで動く時間を設けました。トータルで10分程度の簡単なものでした。その後、選手はシャワーを浴びて宿舎に戻り、遅い夕食をチームで取ります。宿舎に帰った後は、各選手が各々の身体のケアを行います。このケアはアスレティックトレーナーが中心に指導していきます。
試合の翌日は、起床の時間は選手に任せます。必ず朝食を食べるように指導はしますが、まずはゆっくりと身体を休ませることを優先します。その後、前日の試合出場が30分未満の選手はフィットネストレーニングを行い、それ以外の選手はリカバリートレーニングを行います。試合翌日のリカバリートレーニングは、軽負荷のウェイトを用いたサーキットトレーニングと自転車エルゴメーターを用いての有酸素トレーニングを組み合わせて行いました。軽負荷のサーキットトレーニングを行うことで、@ストレッチング効果 A循環を促進し疲労物質の除去 B気分転換 などの効果を期待しました。また、軽い負荷ではありましたが、トレーニング時間と休息の時間を工夫することで、筋力トレーニングの要素も十分に取り入れられたと思います。サーキットトレーニングも有酸素トレーニングも20分程度のメニューになっています。合計40分程度のリカバリートレーニング終了後は、フィットネスを行った選手と合流してチーム全員でプールリカバリーセッションを15分程度行います。このプールセッションもできるだけ選手のフリーな時間を設け、楽しくリカバリーに取り組んでもらえたと思います。全体で1時間程度のリカバリートレーニングですが、終了後に自らウェイトトレーニングにしっかりと取り組む選手もいました。トレーニングの内容や強度などを選手に確認はしますが、基本的に選手の自主性に任せました。一緒にトレーニングしながら、選手と話す時間は楽しく、選手の違った一面も見られますので貴重な時間となりました。
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プールセッション |
また、試合の2日前・前日にはコンディショニングメニューを実施しました。試合の2日前には昼食前に、試合の前日にはプレマッチミールの前に行いました。内容は、ストレッチングを中心に体幹や頚部のトレーニングを行いました。疲労が溜まると、選手はいつまでも寝てしまいます。寝起きでは食欲も出ませんし、寝過ぎると「身体が重い」という状態になってしまいます。時間にして15分程度ですが、積極的に行っていきました。
以上、述べたように他のスタッフと協力しながら、様々なことを実施していきますが、最も大切なことは選手の「セルフケア」です。アスレティックトレーナーと協力しながら、直接指導したり、掲示物を作って選手に情報を提供しました。
「疲労回復」は選手にとってもスタッフにとっても非常に重要な課題です。この課題をどのように対処していくのか、方法はたくさんあると思います。もちろん「これが絶対正しい!」というようなことはあり得ません。できるだけ多くの引き出しを使って、「状況」に合わせて柔軟に対応していくしかないと思います。この遠征では、コンディショニングに関してはうまくいった面が多かったですが、それもスタッフの協力のもと、選手が一生懸命に取り組んでくれたからです。
今回は「疲労回復」をテーマにお話しました。このテーマもまだまだ議論の余地があります。色々なご意見・ご感想をお聞かせいただければ幸いです。
>>大会公式ウェブサイト
>>日本ラグビー協会のリポート
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