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Column Vol.8
Ichiro Kitano

アメリカの多くの大学が加盟しているNCAA(National Collegiate Athletic Association)では、Division制度を設け、Division I、Division II、Division Vに分かれています。これは各大学の体育局が持つクラブの数、大学の学生数、体育施設、スタジアムやアリーナの収容人数、歴史など、いろいろな要素を考慮してDivisionT-Vに分けています。その中でDivisionTが最も規模が大きく、また奨学金が許されているため優秀な選手をリクルートすることができ必然的に競技レベルも高くテレビ放送も多いです。そのDivisionTの中でも、比較的近く、実力差がさほど大きくない大学同士で作られているのが「リーグ」で、現在31のリーグがあります。
Column3、Column5でも登場していただいた北野一郎さんは、現在DivisionTのIVY Leageに所属しているブラウン大学でアスレティックトレーナーとして活躍されています。
数回にわたりアメリカの大学におけるスポーツ事情やアイビーリーガーの実情に迫ってもらいます。


 アイビーリーガー(Ivy Leaguer)達の挑戦 [ 1 ]
 ●北野 一郎
  ATC(NATA公認アスレティックトレーナー)
  プリマス州立大学大学院修了
  ブラウン大学アシスタントアスレティックトレーナー

Certified Athletic Trainerとなり働き始めて、もう2ヶ月。仕事場の環境やチームにも馴染み、秋のスポーツのシーズンも残すところ、あと1ヶ月と少し。今、担当しているバレーボール部の成績があまり良くないのには、少し淋しい気がする。毎日、練習前にトレーニングルームに来て、トリートメントを受ける選手の顔にも疲れが出ているように見える。それもそのはず、アメリカの大学では文武両道は当たり前。大学で一定の単位を取得し、その成績次第で次のシーズンの練習や試合に参加できるかも決められてしまう。

ブラウン大学アスレティックトレーニングルーム

アメリカの大学スポーツは3つのDivisionに分けられる。もちろん、Division1の大学に在籍している選手はほど、ドラフトされるようなプロに近いような選手である。そう言った選手はある一定の奨学金(Athletic Scholarship)を大学から受けていることが多い。しかし、多くあるDivision1のリーグの中で、唯一その奨学金のないリーグがある。それが Ivy League (アイビーリーグ)である。その中に所属する大学は、Brown University, Columbia University, Cornell University, Dartmouth University, Harvard University, University of Pennsylvania, Princeton University, Yale Universityの合計8校。名前を聞けば知っている人もいるかしれないが、この8つの大学は全米の中でも学力に優れた生徒が勉強する私立の大学である。いくらスポーツ選手でもこの大学に在籍している生徒には練習、試合の他に、その他の学生と同様な授業や試験、成績を取ることが求められる。その選手達はもちろん、スポーツをすることよりも勉学を選んで入学してくる選手がほとんどである。


シーズンの初めは、同じリーグの大学とは試合を行わず、他のリーグの大学と試合をするのが普通である。その他の大学には、リクルートされ奨学金をもらいプレーする選手が大半である。そんな選手と対等に試合をすることもあるが、それは蓋を開けてみないと分からない。特に、バレーボールの場合は、なかなかUpset(番狂わせ)をすることは難しい。それでも、Ivy LeagueチャンピオンがNCAAのトーナメントで勝ち進んでいく場合も少なくはない。その代表がPrinceton University の男女ラクロス部。男子のラクロスは全米チャンピョンに何回もなるほどの強豪。女子も全米で上位につけるほどである。しかし、バレーボールになれば話はまた別である。西海岸を中心とする大学がナショナルランキングの上位を占めることは毎年のことである。

ブラウン大学にも男子女子共にラクロス部がある


この2ヶ月間に合計で12試合行われ、成績は1勝11敗。しかも3週末連続でリーグ戦の遠征。その間に、選手達は取っている授業の中間試験やペーパー(小論文)などの提出に終われ寝不足になっているように見えた。練習するコートには、教科書や授業で取ったノートが置いてある。まず、こんな光景を日本で見ることはない。その最後の遠征先は、Cornell UniversityとColumbia University。Cornell は現在リーグの首位。その試合では勝てるはずの試合も、ミスを連発して落としてしまった。その翌日は、Columbia戦。初めの2セットを取られるも、持ちなおして2セットを取り返す。最後のセットも、Brownが取って逆転勝ち。リーグ戦で待ちに待った1勝目。選手、コーチ達(トレーナーも)は嬉しさを隠すことはできなかった。それと同時にその試合でうちの選手が通算1000回のDigs (相手チームにアタックされたボールを拾うこと)を達成。帰りのバスの中でアシスタントコーチからプレゼントがあった。普段、試合前にチームでPre-game Meal(試合前の食事)を取る時に、もちろんデザートは禁止。それが試合後であっても。コーチからのプレゼントは、普段はみんなで食べないデザート。そのときばかりは、選手達も普段の女の子にかえり、大きな1勝の喜びとコーチからの小さなプレゼントの喜びにひたっていた。

続く