Home | Introduction | Report | Column | Think | Knowledge | Links | Contact
Report Vol.8
2004/04/17
−第7回学生トレーナーの集い−

下農 裕久=文

 3月14、15日の2日間茨城県の筑波大学で行なわれた、「第7回学生トレーナーの集い」に参加した。「学生トレーナーの集い」に関しての詳細は、別欄に譲るが、全国の学生トレーナーの情報交換の場として、ネットワーク作りの場として、1998年に国際武道大学で第1回が開催されてから毎年、行われている。最近は、インターネットや雑誌・書籍などで、情報は手に入れやすいが、学生トレーナー同士のコミュニケーションや、他校の引率の先生のお話を実際に伺う機会というのは少なく、貴重な情報を得ることができる。これが「学生トレーナーの集い」の良さであろう。また、学生トレーナーの集いでの出会いがきっかけで就職が決まったりすることも珍しくない。私自身も、「学生トレーナーの集い」での出会いから、実際の現場見学を許可していただいたこともある。このような、人同士の繋がり、ネットワークを作ることができる機会も学生トレーナーには非常に有益なことだと思う。 以下、今回の学生トレーナーの集いに参加しての報告を述べていきたいと思う。

3月14日は快晴であり、3月にしては暑い気温であった。羽田空港から2時間程かけてバスで筑波大学に移動した。今回のメイン会場である体育総合実験棟SPEC(Sport Performance and Clinic Lab)に到着すると、大勢の学生トレーナーの姿がある。久しぶりに会えた、学生トレーナーの仲間との再会を喜びながら、SPEC内に入ると、その設備の充実ぶりに驚いた。ローマのコロシアムをイメージされて設計されたというSPECは3階建ての施設であり、1階がバイオメカニクス、2階がスポーツ医科学、3階がスポーツ心理の研究施設となっている。施設内はもちろん土足厳禁であり、非常に清潔な印象を持った。当たり前のことかもしれないが、大事なことだと思う。


 筑波大学の白木仁先生の開会の挨拶で、「第7回学生トレーナーの集い」がスタートした。最初のプログラムは『スポーツ現場で求められるトレーナーとは』というテーマのシンポジウムである。シンポジストは、座長の白木先生、筑波大学体育科学系助教授で鹿島アントラーズのチームドクターでおられる宮川俊平先生、筑波大学体育科学系講師で筑波大学柔道部監督の岡田弘隆先生、ミズノトラッククラブ主将で110mHの03年日本選手権1位の谷川聡先生の3名である。座長の白木先生から「アスレティックトレーナーとは」ということで、アスレティックトレーナーの業務内容などに関してのマトメをお話いただいた。


 次に、宮川先生のお話である。ドクターの立場からトレーナーとドクターの役割分担の必要性・情報交換の必要性を強調されている。ドクターがスポーツ現場にいないことが多いのが日本の現状であり、宮川先生のお話にあったように、トレーナーはドクターとしっかりとコミュニケーションが取れることが必要である。岡田先生からはコーチの立場からのお話をいただいた。コーチがトレーナーに求めるものとして、選手が練習を休まないようにしていくためのコンディショニング作り、ドクターや選手とのコミュニケーションなどが挙げられた。情報を共有する際に、トレーナーとしての視点のみでなく、コーチの視点から見ることの必要性も述べられ、選手の自立をサポートするような活動の必要性も述べられた。トレーナーが選手の逃げ場所になってはいけない、ということであった。最後は現役のトップアスリートである谷川先生のお話であった。トップアスリートは自分の身体の状態に関して非常に敏感であり、トレーナーに求めるサポートのレベルも高い。特に選手の感覚とトレーナーの知識のズレ、というものが発生しうるとのことである。選手の感覚を理解するには非常に高度なコミュニケーション能力が必要とされるだろう。以上、3名のシンポジストの先生方のお話を伺い、それぞれのお話に共通点がみられたのではないか。それは、「トレーナーには非常に高レベルなコミュニケーション能力が必要とされる」ということである。トレーナーは選手・コーチ・ドクター・その他のサポートスタッフと連携して活動していくのである。その中での「良いコミュニケーション」とは何かということを考える必要もあるのではないだろうか?シンポジウムの終了後には、学生トレーナーから質問の手が多く上がった。シンポジストの先生方に留まらず、オブザーバーとして参加されているプロトレーナーの方からも回答があり、活発なディスカッションとなった。

シンポジウム終了後は参加校がそれぞれ掲示したポスターの閲覧や、SPECの施設見学などの時間が設けられた。



 続いてのプログラムは『トレーナークイズ』であった。これはトレーナーに必要な知識を確認しながら他校の学生トレーナーと交流していこう、という企画であった。他校の学生とランダムに組まれた5人1組のチームで、得点を競い合うというものである。どのグループを見ても活発なコミュニケーションが図られている様子であった。楽しみながらコミュニケーションが取れる、今までの集いには無かった企画であったと思う。

 『トレーナークイズ』終了後は、いよいよ懇親会である。国際武道大学の山本利春先生の乾杯の音頭で始まった。多くのオブザーバーの方々も参加された。学生トレーナー同士で新しい仲間を増やしていく人、オブザーバーや先生に日ごろの悩みをぶつける人・卒業後の進路の相談をしている人など、少々のお酒も入りながら、賑やかに盛り上がった。普段、なかなかこのように多くのトレーナーを話す機会というのは無い。多くのトレーナーと意見を交換することで、より幅広い知識・人のつながりを得ることができる。この懇親会が「集い」の目的を達成するために、非常に大きな役割を果たしているだろう。この後、場所を移動して2次会も行われ、夜遅くまで議論する学生トレーナー達の姿があった。


2日目のプログラムは有志の大学による各大学における学生トレーナーの役割』である。出展大学と内容は以下の通りである。

A:大阪体育大学 「大阪体育大学における学生トレーナー活動」
 大学内での学生トレーナー活動にストーリー性を持たせたものをビデオで上映する。
 
B:国際武道大学 「学生主催勉強会」
 国際武道大学では傷害予防を目的として毎月、学内選手を対象にコンディショニングセミナーを開催している。その作成段階の一連の流れと実際のレクチャーを紹介する。

C:東海大学 「足関節の不安定性に対するリ・コンディショニング」
 バスケットボール部で整形外科チェックを行った結果、多数の選手に足関節の不安定性が見受けられたので、不安定性を示す選手に対してリ・コンディショニングを行った。

D:筑波大学 「各部活動における症例報告-トレーナーとしての見る力-」
 運動部で発生した肩関節の障害に注目を置き、なぜ肩関節の障害がおこるのか、身体動作やコンディショニングの面から原因を追究し、選手権トレーナーならではの肩関節障害の予防法を紹介する。

以上、4つの出展があった。それぞれ、よく準備・工夫された素晴らしい内容のものであったと思う。               

私たちの発表

以上のワークショップをもって、「第7回 学生トレーナーの集い」のプログラムは終了となった。多くの学生トレーナーの仲間・オブザーバーの方々、他大学の先生の方々とディスカッションする機会というのは本当に少ない。今は、様々な情報も手に入りやすいが、現場での「生の意見」や人同士のつながり、というのはこのような機会ならではで得ることができるものだと思う。このような機会を大切に、またフットワークを軽くし、様々な「集い」の場に出かけて行きたいと思う。
 最後になりましたが、開催校である筑波大学のスタッフの皆様のご厚情には、本当に感動いたしました。皆様のおかげで、本当に良い「集い」に参加させていただけました。この場をお借りいたしまして、御礼を申し上げます。ありがとうございました。



下農 裕久
大阪体育大学体育学部生涯スポーツ学科4年
ラグビー部学生トレーナー
(2004年4月現在)


<<Report