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大学ラクロスにおいてはちょうど今頃の時期にゴーリーを始めるプレーヤーが多いようで、ゴーリーに関する質問が多く寄せられます。そこで今回はゴーリーに関して考えてみたいと思います。 ![]() ■反応をよくしたい 反応をよくしたいと考えるなら、まずは反応とはどのようなプロセスで起こっているかを理解する必要があります。スポーツにおけるスピードとは、ある一定の条件下において、認識過程や強い精神力と神経・筋系機能によって、反応速度や動作速度を最大にまで高める能力を意味します。ゴーリーの場合、視覚の刺激による反応時間や反応速度が重要です。反応速度とは刺激に対してできるだけ速く反応する能力を意味します。また動作速度とは外的な小さな抵抗に対してハイスピードで運動を行う能力を意味します。シュートを打たれそのボールに対して適切なスティックワークでヘッドを移動させると同時にステップにより適切なポジションに身体を移動させセーブする。すなわちゴーリーはシュートを打たれたと同時に反応し、一瞬の間に手と足をはじめ身体を適切に動かさなければなりません。これは非常に高度な運動です。 整理するとゴーリーは2つの段階を経て反応し動作していることになります。まず第1段階は視覚刺激による反応です。シュートが放たれボールがどのような強さでどのコースに飛んできているかを「認識」しなければいけません。第2段階はその認識に基づき実際に身体を動かします。反応を高めるトレーニングにおいてはこの2つの段階を理解する必要があります。第1段階においては視覚が重要なファクターとなるため、いわゆるビジョントレーニングが必要であり、第2段階においては身体を素早く適切に動かす為に、動作速度を高めるトレーニングが必要になります。さらにセーブする際の「フォーム」の再現性を高めるトレーニングも重要です。 ※実際にどのようなトレーニングを行うかは別稿で。 ■準備のフェーズ 良い「反応」をする為には、反応する前の段階が重要です。すなわちシュートを打たれる寸前です。いくら反応速度や動作速度が速いとしても反応する準備が適切でなければ反応が遅れます。野球を例にとるといくらバットスイングが速いプレーヤーでも適切な構えでタイミングをとっていなければ打つことはできません。ゴーリーもシューターに対して適切なポジショニングをとり、素早く反応できる構えをとらなければなりません。ゴールラインを底辺にArcを引きそのライン上を移動しゴールの中心とボールキャリアーのヘッドを結んだライン上にポジショニングする。これは、ゴールマウスのあいている空間をできるだけ均等にするもしくは少なくするポジショニングです。よくゴーリーのセーブの練習ではシューターが「ずれてるよ」とか言っているのを聞きます。また、ボールキャリアーが速いパスを投げることにより瞬時にボールキャリアーのポジションが変わる為(左から右、裏から上等)その都度素早くなおかつ適切な位置に移動することが求められます。ここではシュートに対する反応ではなくボールの位置による素早い横や縦への速い移動が必要となってきます。私が知る限り、このポジショニングに関してはコーチやプレーヤーは認識し常に修正に努めているようです。しかしながら、良いポジショニングをとっているだけでは不十分です。陸上競技の短距離におけるスタートを思い浮かべていただければわかりやすいと思いますが、スタートする構えが重要です。陸上競技短距離では、人によって構えが違い、いかにすれば良いスタートを切れるかを創意工夫していることが伺え知れます。ゴーリーにとってもどのような構えが自分にとって良い反応とその後の動作を生み出すことができるのかを知らなければなりません。ハンドルの握り方、ヘッドの位置、スタンス、重心の位置、股関節,膝関節の屈曲角度・・・・。もしも反応速度と動作速度が優れているにも関わらず良い反応と動作ができない場合は、反応もしくは動作を遅くしている原因を突き止め改善しなければなりません。これはゴーリーのコーチにとって一番重要な仕事となります。また、構えと言ってもその形だけにとらわれてはいけません。ヒトが反応し動作する準備の段階では力を抜きすぎても入れすぎても動作は遅くなります。これはおそらく経験的に分かっている事だと思います。重要なのはセービングする瞬間に筋が収縮しなければいけないということです。 ■予測 ゴーリーにとっては「反応速度」や「動作速度」そして「準備のフェーズ」が重要であることは前述しました。しかしそれだけでは不十分です。ラクロスにおいては女子でも男子でも至近距離から高速のシュートを打たれることは珍しくありません。そのようなシュートに対していくら反応がよくても対応が困難な場合が多々あります。そのようなシチュエーションで重要となるのが「予測」です。これは女子と男子で大きく違いますが、シュートのシチュエーションによりある程度どのようなシュートが放たれるかは予測することが可能です。シュートを打つポジション、スタンディングなのかランニングなのか、種類(オーバー、スリークォーター、アンダー等)、シュート前の予備動作など、経験が豊富なゴーリーはそのシチュエーションやフォームによってどのようなシュートが飛んでくるかを予測することが可能です。この予測能力を高めるには、質の高いゲーム経験が必要です。やみくもにシューターと1対1でセーブ練習をしていたのでは向上しません。また、毎日同じチームのプレーヤー相手の練習を行っているとある程度そのプレーヤーのくせや能力の限界、またオフェンスの傾向を認識している為予測が容易です。ゲーム以外でこのような能力を向上させるには、コーチは様々なシチュエーションを想定したゲームライクな練習を開発しなければなりません。 ■女子のゴーリー 近年、日本の女子ラクロスのレベルは着実に向上しているように思います。アメリカ、オーストラリア、カナダなどの強豪チーム相手でも通用しそうなフィールドプレーヤーもいます。しかしながらゴーリーに限って言えばレベルが違いすぎます。ラクロスにおけるゴーリーというポジションは他の球技におけるゴールキーパーと同様に特殊であり、女子ラクロスにおいては男子ラクロスのそれよりも専門的なポジションであると言えます。したがって、フィールドプレーヤーとは異なった育成を行わなければなりません。にもかかわらずゴーリーの為の専門的な育成や特殊なトレーニングが不足しているのが現状です。学生女子ラクロスの場合、1年生の最初はフィールドプレーヤーを経験し、そのうち志願者がゴーリーというポジションにつくという流れが一般的なようです。ご存知のように男子ラクロスの場合は構造上の違いはあるものの、フィールドプレーヤーのスティックのポケットは深いため、ゴーリースティックの扱いと大きくは変わりません。しかし女子ラクロスのフィールドプレーヤーのスティックとゴーリーのスティックは大きく異なる為、女子用のスティックの扱いがうまくても、それがゴーリースティックを扱える条件になるとは言えません。したがって、あくまで私見ですが、ゴーリーのスティックで練習する為には、まずは、男子用のスティックを扱えるようになることが必要だと考えています。フィールドプレーヤー用のスティックを扱っていたプレーヤーが急にゴーリースティックを扱いだすのはあまりにも無謀です。 女子のフィールドプレーヤー用のスティックで習得したクレイドル、スロー、キャッチの方法とは異なる為、適切なスティックワークのトレーニングを行わなければなりません。筋力の乏しい女子プレーヤーが急に、長く重いスティックを使いそれらの技術を習得しようとすると誤った技術を身に付けてしまう恐れがあります。チーム事情等を考慮せずに提案すると、フィールドプレーヤーのゴーリーへの導入期には、まず男子ラクロスのスティックで適切なスティックワークとセービング等を習得しつつゴーリースティックを扱うのに必要な筋力や柔軟性を高め徐々にゴーリースティックへ移行することにより、適切な技術を身に付けることができるのではないでしょうか。 その二に続く << Think |
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